パイロット「カスタム823 FA」を買ってみた

カスタム823は、軸全体が空気鉄砲のような仕組みの一風変わったインク吸入方式を持つ、やや大型の万年筆。

ペン先は極軟式のフォルカン(FA)。
柔らかなふわふわしたペン先で、細字(F)~中字(M)と幅広い線(がんばれば太字まで)が書けるのが特徴。
その柔らかさを出すために、ペン先の両サイドに切れ込みまで入れてあります。

カスタム823 FA


この万年筆は、東京に出かけたときにアサヒヤ紙文具店で購入しました。
立て続けに万年筆を買っているようですが、ブログに書くのが遅いだけで、いちおうエラボーから1ヶ月くらいは経っています(´Д`;)ヾ

◆目的

主にシステム手帳に使う、主力万年筆。

細字で柔らかいエラボーSEFのペン先は書き味が絶妙。
でも残念ながら、金属軸のバランスがいまいち手になじまないまま。

そこで、エラボーSEFの替わりになるものを検討することにしました。

希望の内容は――
10mmの罫に3行書ける程度の細字。
エラボーより軽量で、持ったときのバランスが手に合う軸。
書くときにカリカリしないソフトなペン先。

◆743POと743FA

はじめに試し書きさせてもらったのは、カスタム743のPOとFA。

カスタム743は、パイロット製万年筆の主力ともいえる74シリーズで、サイズが一番大きいもの。

PO(ポスティング)は、硬めの極細。
0.38mmゲルインクボールペンより細く書けるくらい。
ペン先に加工がしてあって、極細なのにほとんど引っかかりがないのがすごい。
他店で試したEF(極細)がかなりカリカリしていたのであまり期待していませんでしたが、思いもしない発見でした。

FA(フォルカン)は、極軟式の細字。
柔らかいといってもエラボーほどでは……と思ってましたが、エラボーのSEFよりずっと柔らかい。(エラボーはSFやSMだと、SEFよりだいぶ柔らかいようですが)
でも、パイロットのペン先説明にある「毛筆のような」というのは大げさだと思う。硬筆系筆ペンよりもずっと金属的。
抵抗がなくゆったりとした書き味で、紙の上を転がるような感覚がなかなか楽しい。

2つを試し書きしてみて、書き味はFAのほうが好み。
でもやっぱり、いまひとつ軸がしっくりきません。

743はエラボーよりおよそ10gほど軽量。
そして、重心が少し中央寄り。

軽くて重心が前に移動したので、私の持ち方ではペンが立ち気味になってしまいます。
指先に変に力が入って、筆圧のコントロールも難しい。使っていると手の甲側が引きつるように感じます。

この状態だと、FAの筆記はちょっと不安定。
少しの筆圧の変化で線が大きく変わるペン先なので、手に合わない軸だと思いもしないところで線が太くなったり細くなったりします。

ペン先はFAがいいけど、軸が合わない。
どうしようかと思っていたところで、店長が出してきたのが823FAでした。

◆823FA

823の軸は、持ったとたん不思議なくらいにぴたりと手に収まりました。
バランスがすごくいい。

重さは743より5gほど重く、ちょうど743とエラボーの中間。
国産の万年筆としては重い方。
でも、持つときに力がいらない。
わざわざ「筆圧をかけないようにする」などと考えなくても、自然と力が抜けます。

店頭で2時間かけて、ようやく手に合う万年筆が決まりました。

色は、黒、茶、透明の3色から黒を選択(黒と茶は半透明)。
透明軸もよさそうでしたが、すでにカスタム74と92の透明軸があります。手持ちが透明ばかりというのも面白味がありません。
それに、金色のクリップとリングには黒が似合う気がします。

◆持ちやすさの不思議

手になじまなかったエラボーと、持った瞬間すっと収まった823ですが、比べてみるとこの二つの違いはあまり大きくないようです。

重さはエラボーが約35g。823が30g。わずが5g程度の違い。(823はインク吸入量が多いので、インク量によって多少重量差がでる)

重心の位置は、
エラボーが、筆記時長(キャップあり)156mmに対してペン先から93.5mm。
823は、筆記時長(キャップあり)162mmに対してペン先から97mm。
どちらも、ペン先から6:4で、やや後ろ寄りのほぼ同じ位置に重心があります。

それなのに、持ってみると実際の重量差以上にエラボーは重く、手が疲れるように感じます。

いろいろ考えてみると、この原因はペン先からの重心までの距離、わずか4mmもない差にありそう。

私が万年筆で書くときは、軸を人差し指の付け根付近で支えるような、かなり寝かせた持ち方をしています。

エラボーはペン先から重心位置までが短いので、軸を乗せている支点から、手の内側に寄ったところに重心があります。
支点から離れたところに重さがかかるので、その分重く感じるはず。

823も手の内側に重心がきますが、支点のすぐ近くの位置になります。
これはちょうど、レコード針のような感じ。
安定した重量。全体としては前に傾く。
でも、重心が支点寄りなので、接地する先端には軽い力しか掛からない。
私がよく使う柔らかめのペン先をコントロールするには、丁度いいバランスです。

もちろんこれは、私の手の大きさと持ち方に深く依存しています。
823は重くて使いにくい、という人も少なくないようです。
でも、私にとっては823のバランスははっきりとした指標になりそうです。

◆使いだして気づいたこと

新品の823FAを買って、使ってみて気づいたことをいくつか。

まず、買った直後の新品は試し書きしたものより、少しペン先が硬い。
先端のなめらかさは当たり前だとしても、ペン先のふわふわ感にもはっきりとした違いがあります。
これは使い込んでいくしかない部分。

インクの吸入機構を兼ねている尾栓は、書くときには軽く開ける必要があるけど、たいした手間にはならない感じ。
そもそも、移動しないときは栓を開けっ放しです。
書いた直後に栓を閉めようとすると、ペン先からインクがにじんでくるのが気をつけるところ。

インクの残量が少なくなると、ペン先からでるインク量が多くなりやすい印象。
たぶん、軸内の空気量が増えて、それが体温で暖められてインクを押し出しているんだと思います。
これは、インクを吸入すれば解消。

コンバーターと違って、ワンプッシュでインクを吸い上げる823の吸入方式(プランジャー式)は、すごく楽。
黒透明軸を選んでインクの吸い上げははっきり見えないので、このときは透明軸がよかったかもと思ってしまいます。

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この記事へのコメント

え?!
2017年10月25日 23:02
えっ?!823にFAってあるんですか?
公式にはF、M,B,BBしか無かったように記憶してますが・・・

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